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食物アレルギーについて(その10):牛乳の詳細なアレルゲンについて

こんにちは。京阪本線野江駅 JRおおさか東線野江駅より徒歩3分。のえ皮フ科クリニックです。

この表には牛乳に含まれるアレルゲン(特異的IgE)を示します。このように一つの食材にも多くのアレルゲン決定部位(エピトープ)があるのが分かります。上のアレルゲンに関して簡単に述べてみます。① αラクトグロブリン: 高度に熱安定性を示すことが知られます。α-ラクトグロブリン特異的IgEの罹患率は27.6~62.8%と研究によりさまざまです。② β-ラクトグロブリン: 乳清中で最も豊富に含まれるタンパクです。上記のごとく多くのエピトープを含みます。③ 血清アルブミン:牛乳、牛肉、牛上皮アレルギーで最も重要なアレルゲンです。これは牛、羊、鹿、豚、猫(肉と上皮)に交差反応性を示します。これは牛肉アレルギーの主要なアレルゲンですが、牛乳アレルギーの人の3.8%しか交差反応しません。加熱処理や化学変性によりアレルゲン性は影響を受けません。④ 免疫クロブリンγ: 約10%の牛乳アレルギーの患者さんが子のアレルゲン特異的IgE陽性です。⑤ カゼイン (Bos d8-12): 牛乳のタンパク中80%を占めます。このタンパクは熱安定性です。カゼインの比率は37%がαs1-カゼイン、37%がαs2-カゼイン、13%がβ-カゼイン、13%がκ-カゼインです。 多くのIgE結合エピトープを示しますので、表をご参照ください。このように牛乳一つとっても多種のタンパクが含有され、多種のエピトープが存在するわけですね。