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乾癬について(2) 20世紀中期の乾癬の考え方

こんにちは. 京阪本線野江駅, JRおおさか東線野江駅より徒歩2分 のえ皮フ科クリニックです.

下に示す論文のコピーは1950年にBritish Medical Journalという雑誌に掲載された乾癬に関する記事です.

この論文で著者は乾癬について以下のように述べています.

① 乾癬は極めつけの「非特異的疾患」である.

② ストレスは発症の重要な要因ではあるが, これは外傷, 温熱, 寒冷, 日光, 急性・慢性感染症, 薬剤, 肉体的・身体的ストレス, 情動不安定などを含む.

③ 乾癬には遺伝的要因が関与する.

①に関しては現在は否定的で乾癬はある種の自己抗原に拘束する特異的疾患と考えられています. ②のストレス説はほぼあらゆる疾患に関係していますが, 乾癬の発症に特異的現象ではないでしょう. ③に関しては父母のどちらかが乾癬の患者さんだった場合, 子供の乾癬の罹患率が家系内に感染患者のいない場合と比し少なくとも数倍になることから考えて遺伝的傾向はあると考えますが, いわゆる「遺伝病」というほどのものではないかと思います. ちなみに遺伝性疾患とは「染色体異常症」, 「単一遺伝子疾患」, 「多因子遺伝」の3種類に分類されますがおそらく乾癬は「多因子遺伝」と考えられますし, これはほぼすべての疾患に当てはまるとされ, アルツハイマー型認知症, 糖尿病, 高血圧などの成人になってから発症する疾患が含まれ,「よくある病気」(コモンディジーズ)とも呼ばれます.  これらは環境因子と遺伝因子の両方から影響を受けて発症するため, 場合によっては予防可能とされます. 今から70数年前の記事から学ぶことはあるものの, その後乾癬という疾患の特異的側面が研究されるようになるのです.