こんにちは. 京阪本線野江駅, JRおおさか東線野江駅より徒歩２分　のえ皮フ科クリニックです。

今回は滴状乾癬に関してお話します。滴状乾癬は尋常性乾癬と違い基本的に局面を形成せず点状（滴状といいます）の赤い発疹を主にするのが特徴です（下の図）。尋常性乾癬においても一番最初の皮疹（原発疹）は滴状を呈し, しかし局面状にならないのは炎症反応のパターンに起因するのかもしれません。

図に挿入したように, 滴状乾癬ではCD8陽性Tリンパ球のインターフェロンガンマ (IFNg)に対する反応性が亢進するという特徴があります。これは全くの私見なのですが, IFNgは表皮角化細胞の分化を促進することが知られていますので, 皮疹が水平方向に拡大するより優先的に垂直方向に分化する傾向を示すのかもしれません。IFNgの作用を減弱させるサイトカインとしてインターロイキン10 (IL-10)がありますが, Sterryらが1998年にJournal of Clinical Investigationに掲載した論文（IL-10の乾癬に対する治療的効果を示した内容,　ただし滴状乾癬ではなく尋常性乾癬を対象にした）以降臨床応用は試みられていないのではないでしょうか?　今後の発展が望まれます。