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乾癬について(1) 19世紀の乾癬治療

こんにちは. 京阪本線野江駅, JRおおさか東線野江駅より徒歩2分 のえ皮フ科クリニックです.

乾癬の歴史に関しザーッとまとめてみました. 乾癬はおそらく地球上で最も古くから認識されていた疾患で「旧約聖書」ではハンセン氏病の一形態として報告されていたほどです(現在では乾癬とハンセン氏病は無関係であることが分かっています). ギリシャ人はlepra(ハンセン氏病のこと)を落屑に富む皮膚の状態を指し, psora(乾癬のこと)を皮膚の掻痒状態のことを言ったそうです. そうすると現在の定義とはかなり離れると考えてよいでしょう. あくまで疾患名としてのオリジンが旧約聖書時代からあったと考えるべきかと思います(とはいえ当時から乾癬のような皮膚の状態は存在していたはずです).

現在の乾癬という病名と乾癬という皮膚の状態が一致して記載されたと考えられるのが古代ローマ時代のコーネリアス・セルサス(BC25年~AD50年)という分類学者(encyclopedist)によって記されています. 時代の下がること1813年にはイギリスの皮膚科学者Dr. Batemanによって乾癬と関節炎の関係が記載されています.

この図は1885年に報告された乾癬治療のレシピに関するものです. Chrysaroninというのが有効成分と考えられます. この物質はアンソラリンの誘導体で, 薬理作用はよくわからないものの, 細胞の増殖を阻止し分化を促進するとされています. ただ発がん性も報告されておりなかなか使いにくい薬剤でしょう. 少なくとも19世紀まで(おそらく20世紀後半まで)は乾癬はよくわからない疾患であったのです.