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乾癬について(7) 乾癬の抗体治療の出現

こんにちは. 京阪本線野江駅, JRおおさか東線野江駅より徒歩2分 のえ皮フ科クリニックです.

前項までに述べたように, 20世紀の末までに乾癬における免疫の関与及び免疫修飾作用のある薬剤による乾癬治療の勃興を認めたのですが前世紀末に現在と近い免疫療法の報告がなされました.

それがCTLA4-Igを使った全身療法(抗体の静脈内注射)なのです. この仕事は1999年にJournal of Clinical Investigationという一流誌に掲載されました。簡単に述べますと, CTLA4という共刺激因子はT細胞の活性化を起こす上で必須の分子なのですが注射でCTLA4の構造を所有する免疫グロブリンg (IgG)を全身投与し, 患者さんの中でのT細胞の活性化をブロックしたところ乾癬が顕著に改善したというものです (下の左の図). この試験では試験開始5週目までに4回このタンパクを注射した後の反応を見ています. 皮疹の改善は非常に素早くDay 36(4回目の注射の時期)にはほぼ寛解を示しています. さらにこの効果はほぼ半年間の観察期間中継続します (下の右の図).

このイノベーティブな試験が現在の生物学的製剤の開発を後押ししたことは想像に難くありません.