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老年期

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老年期

老年期の皮膚疾患とはいっても他の世代とさほど変わるわけではありません。ただこの時期に増加がみられる状態としては、1) 皮膚腫瘍、2) 乾燥肌、3)低温やけどなどの物理的な皮膚障害が挙げられるでしょう。

またベッド上の臥床時間が長くなるとおこる「床ずれ(褥瘡)」は老年期特有であるといって差し支えないと思います。さらに老人施設などで蔓延する「ヒゼンダニ(疥癬虫)」はしばしば院内感染症を起こす原因となります。

また疥癬はひどくなるとノルウェー疥癬という状態になり、介護者や同居者へ容易に感染するようになります。
通院が困難な患者様に対しては往診も致します。老年期は免疫機能が低下傾向にありますので、適切な治療を行うことで重症化を防ぐことになります。

床ずれ

皮膚の表面には毛細血管が走っていて、その血流によって皮膚には栄養が与えられています。

体の一部に持続的に力がかかると、表面を走る毛細血管が圧迫され、皮膚への血流が乏しくなり、その部分の皮膚が死んでしまいます。この状態を虚血性壊死といいます。この状態が続くと床ずれになります。

床ずれのほとんどは、寝たきり状態の人に起こります。健康な人は寝ているときでも、体の一部分に持続的に圧力がかかると、知覚神経により虚血を感じ、知らず知らずのうちに寝返りをうっています。しかし、寝たきりの人は自分で体位を変えることができないため、同じ場所にずっと体重がかかり、骨の出っ張っているような部位に褥瘡が生じてしまうのです。

床ずれは、ぬり薬や創傷被覆材(傷口を覆う貼り薬)を使って治療することが多いのですが、症状が進行してしまうと外科的な治療(手術)が必要になってしまうこともあります。また、加齢によって皮膚が薄くなっていたり、栄養状態が悪かったり、糖尿病などの持病により、感染に対する抵抗力が落ちていることも、床ずれが発生する要因になります。床づれの予防には頻繁に体の向きを変換することが重要ですが、いったん床づれができると保存的治療(軟膏とぬったり患部の保護など)でなく積極的に壊死巣を除去します。壊死巣の下で膿瘍が形成されることもあり、敗血症を引き起こすことがあるからです。

疥癬

症状から、一般的にみられる通常疥癬と角化型疥癬に分けられます。
通常疥癬は、疥癬トンネル(雌成虫が産卵しながら角質層内を掘り進んだ跡)といわれる白っぽい線状の皮疹が手足にみられたり、体に赤いブツブツが出たり、男性の陰部に小豆大のしこりが生じたりします。原則として、頭や顔には症状は出ません。
かゆみが強く、特に夜に悪化して眠れないこともあります。

角化型疥癬は、高齢で体の弱っている人や重篤な基礎疾患(悪性腫瘍、重症感染症など)がある人、ステロイド薬や免疫抑制剤の投与により免疫能が低下している人などに発症します。ステロイド外用薬の使用により、通常疥癬から角化型疥癬に移行することもあります。カキの殻のように厚く積もった角質が、手足、おしり、膝、肘などの摩擦を受けやすい部位や、通常疥癬では侵されない頭、耳なども含め全身にみられます。全身が真っ赤になったり爪が厚くなったりすることもありますが、痒くないときもあります。

皮膚のぶつぶつやかゆみはヒゼンダニに対するアレルギー反応で、治癒後も数カ月間続くことがあります。また、疥癬はいったん治癒と判断されても再発することがあります。疥癬治療には内服や外用など効果的な治療法があり改善は困難ではないのですが、きちっと診断しないと家族内や施設内で連鎖的に感染が拡大することがあります。診断には顕微鏡的に疥癬虫自体あるいは虫卵を証明する必要があり、これは十分に訓練を積んだ皮膚科医が行う必要があります。

帯状疱疹

片側の胸から背中にかけて細かい水ぶくれがたくさんできてチクチク痛みます。みずぼうそう(水痘)のウイルスである水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)が、過労、他の疾患、手術などによる免疫力の低下により再活性化することによって発症します。体の片側の一定の神経支配にそって痛みを伴った細かい水ぶくれが帯状に生じます。
診断、治療開始が遅くなるほど、帯状疱疹後神経痛という疼痛が長い間残ってしまうことがあります。早期に皮膚科を受診して抗ウイルス薬内服や点滴治療を開始することが大切です。
もし帯状疱疹後神経痛が残ってしまった場合は内服薬によるペインコントロールも必要となります。発疹が出現したのち早い段階で治療を開始すると神経痛が軽症化するといわれています。

たこ・魚の目

たこやうおのめは、足の決まった場所が慢性的に刺激を受けて発症します。治療は厚くなった角質を削りとります。
再発予防のために靴など履物に気を配ったり患部にパッドを当てたりします。

いぼ

手や足にブツブツができてだんだん増えていきます。いぼは、ヒトパピローマウイルスの感染により生じます。
ウイルス感染ですので、放置すると感染して増えて、家族内などでも感染することもあります。
治療は、液体窒素療法、内服療法、外用療法、炭酸ガスレーザーなどを行います。
いぼの治療は1回で完治することはなく、複数回の治療が必要となることがありますので、根気よく治療をする必要があります。

乾燥肌(乾皮症)

老年期の肌は潤いの低下を示すいわゆる乾燥肌を呈します。乾燥肌により皮膚はバリア機能(外界の化学物質などが皮膚に侵入するのを防ぐ機構)の低下を示し、皮脂欠乏性湿疹などを起こす原因となります。さらに貨幣状湿疹などが汎発すると自家感作性皮膚炎という全身にアレルギー性の皮疹を示すようになります。適切に診断し適切に治療することにより症状の改善を図ることができます。

汎発性湿疹

アトピー性皮膚炎は青少年期特有の疾患と考えられがちですが、老年期の慢性湿疹はいわゆるアトピー性皮膚炎と類似した慢性の経過を取ります。時に湿疹反応が増悪の一途をたどり入院される場合もあります。きちっと診断し保湿剤、ステロイド外用剤、抗ヒスタミン系のかゆみ止めなどでタイムリーに治療することでコントロールできますので是非ご相談ください。

皮膚腫瘍

老年期に多くみられる状態として皮膚腫瘍が挙げられます。多くは青年期の紫外線による影響が考えられます。良性の変化としては脂漏性角化症や日光黒子などの治療が容易な状態がある一方、基底細胞がんや有棘細胞がん、悪性黒色腫(メラノーマ)なども老年期で発生が増えます。早期発見を行い早期に治療を行うことで完治を見込めることも多いのです。当院では悪性腫瘍に関しても基幹病院と連携し治療をしてゆきます。