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鳥ダニについて(6):鳥ダニが媒介する感染症について

こんにちは。京阪本線野江駅、おおさか東線野江駅から徒歩3分 のえ皮膚科クリニックです。

今回は鳥ダニが媒介する感染症について説明してゆきます。

まず鳥アカダニ(poultry red mite, Dermanyssus gallinae)が媒介する病原体として次の3つが知られています。

  1. サルモネラ菌(Salmonella enterica):ヒトに対して病原性を持つサルモネラ属の細菌であり、三類感染症に指定されている腸チフスやパラチフスを起こすもの(チフス菌 enterica serovar Typhiとパラチフス菌 S. enterica serovar Paratyphi A)と、感染型食中毒を起こすもの(食中毒性サルモネラ:ネズミチフス菌 S. enterica serovar Typhimuriumや腸炎菌 S. enterica serovar Enteritidisなど)に大別される。これらは鳥アカダニが運搬者となって感染を伝搬します。
  2. 豚丹毒菌(Erysipelothrix rhusiopathiae):エリジペロスリックス症は,豚丹毒菌(Erysipelothrix rhusiopathiae)により引き起こされる感染症である。最も一般的な臨床像は類丹毒であり,これは急性であるが緩徐に進行する限局性の蜂窩織炎である。結果として、化膿性関節炎または感染性心内膜炎を引き起こすことがあります。

类丹毒_百度百科 (baidu.com) より転載。

3. 鳥痘ウイルス(Avipox virus):鳥ポックス(Avian Pox)は鳥類に発生するウイルス性の病気の総称である。鳥痘、鳥ポックス症、鳥ポックスウイルス感染症とも呼ばれる。鳥ポックス症は、ポックスウイルス科の鳥ポックスウイルスの感染により起きる症状は顔、翼、脚、足指などの羽毛のない皮膚表面にいぼ状の病変が発生し、顔上に起きた場合は視界や採食を妨げるほど大きくなる場合もあり、また足に発生した場合は樹上に止まる事も困難になるほど膨れ上がる事もある。ヒトに感染した例は報告されていません。

4. それ以外にも以下のものも報告されています。ヒトには伝播しないとされているが、鳥養殖業にとっては大きな損害につながります

    • Mycoplasma synoviae: 鳥マイコプラスマ症の起炎菌。日本では家畜伝染病予防法において届出伝染病に指定されており、対象動物は鶏、七面鳥。
    • Mycoplasma gallisepticum: この菌も鳥マイコプラスマ症の起炎菌。
    • Fowl Adenovirus: 次の疾患の起炎ウイルスになりうる:ウズラ気管支炎(Quail Bronchitis)、産卵低下症候群(Egg Drop Syndrome)、出血性腸炎(Haemorrhagic Enteritis)、キジ大理石脾臓病(Pheasant Marble Spleen Disease)、封入体肝炎(Inclusion Body Hepatitis)などです。
    • Marek’s disease virus(マレック病ウイルス): 神経症状を示し、末梢神経の腫大、リンパ腫形成を認める。

 

参考文献: Huong CTT, et al. Molecular detection of avian pathogens in poultry red mite (Dermanyssus gallinae) collected in chicken farms. J Vet Med Sci 2014; 76: 1583-1587